2009年10月31日土曜日



糸のことは、本当に奥が深くてね、

いまだにいろいろ教えてもらってるんよ、

いつまでたっても勉強中、

ほんまにまだまだなんよ。



今年で83歳、およそ70年の間、奈良晒しを織りつづけたおばあちゃんの言葉です。嫌になって、織機を全部燃やされた時期もあったとか。

すべて手作業で紡がれた絹のような繊細な麻糸に、
時間の経過と積み重ねの織りなす貴重な重みを実感しました。

2009年10月30日金曜日

室町二条”然花抄院” 




普段、ギャラリーのお仕事でお世話になっている室町二条の然花抄院にお邪魔しました。 今回は、いつもとは装い改め和的生活の取材です!今年7月にオープンしたばかりの然花抄院、老舗の呉服屋として有名な誉田屋の元禄十三年建立のむしこ造りの町屋を改造した店内には、旧路面電車の石畳が敷かれ、当時のままの柱が残っていたり、ガラス張りの開放的な空間から見渡す日本庭園には、グラウンドゼロで有名な佐野藤右衛門氏のしだれ桜が来春植樹予定です。



然花抄院室町本店の店内には、おしゃれで素敵なパッケージに包まれたおいしそうなお菓子が並びます。ちょっとしたおもたせにと、車を店の前に停めて立ち寄る方もよくいらっしゃるようです。中でも、丹波黒豆だけを贅沢に食べた鶏の卵をふんだんに用いた”然カステラ”は、なんともいえない濃厚な味わい!そしてカラフルでモダンな茶房”然”では、同じく併設するギャラリー素形の立派な日本家屋と素敵なお庭を眺めながら、美味しいお茶とお菓子が楽しめます。







店内には、室町時代の大きな壺が花器として置かれていたり、昔のままの金庫や蔵・おくどさんがあったりと、旧いものと新しいものとが見事なバランスで融合され、素敵な雰囲気を作り出しています。






併設された素形ギャラリーでは、広くて天井が高く、ガラス張りの開放感あふれるギャラリーに、色とりどりの作品が並んでいました。






そして久しぶりの和的生活ミーティングでは、12月号の情報を入手☆
次の号も、興味深い情報盛りだくさんの素敵な内容、
いろんな展開がでてきてこれからが本当に楽しみです!!!

2009年10月22日木曜日

ある尼門跡の歌



笙の音の地に降りきらら誰ぞ見る 

万の華とは色即是空



京都烏丸御池にある新風館にて、万華鏡night in 新風館が開催されました。 施設広場の真ん中にあるメインステージにライトアップされた万華鏡にあわせて笙の演奏をさせていただきました。
翼をあわせて休めた鳳凰のような姿から鳳笙(ほうしょう)とよばれ、天空から射し降ろす光の様子を顕すという笙の音と、色とりどりの幻想的な光が織りなす万華鏡のコラボレーションでした。


万華鏡ミュージアム館長の伊藤様から教えていただいた、ある尼門跡の歌。

胸がとても熱くなり、涙がこみあげてきました。


万華鏡ミュージアム

新風館


2009年10月15日木曜日

演奏収録@渋谷区南平台


和的ではございませんが、ちょっとしたご報告☆

先日、笙の演奏の撮影&レコーディングを行いました!!
場所は渋谷区南平台。
演奏の初めての映像収録ということもあり、
あっという間の3時間でした。

作品撮りということで、普段の演奏とはまた違った感覚。
でも、ひとつひとつの演奏がご奉納、という気持ちを忘れずに、
1つの演目を繰り返すこと両手で数え切れないくらい‥

話によると、普段、アーティストさんのPVの撮影では、
一日中同じ曲を演奏、収録しているようです。
同じモチベーションを維持し続けるのは、本当に大変だろうなあ、としみじみ実感。
作品への情熱がそのモチベーションの原動力なのでしょうね。

奇しくも場所は、別のイベントで滞在中の渋谷区南平台。
イベントのスタッフもこなしながら、
2週間で連続して3回の演奏を行うという超ハードスケジュールでしたが、
ひとつひとつの演奏がまったく違うかたちとなり、
色々勉強させていただきました。
3回目のこの演奏では、収録が終わり外にでると久しぶりの恵みの雨が!!!


なにはともあれ、作品の出来上がりが楽しみです♪

お声がけいただいたジンさんとスタッフの方に、心からの感謝を込めて‥



2009年10月14日水曜日

風響の会~シルクロードへの郷愁 大徳寺大慈院



普段は非公開である大徳寺の塔頭大慈院にて、知人の能管奏者である野中久美子さんの主催するコンサート”風響の会 ~シルクロードへの郷愁”が10月9日・10日の2日間開催されました。昨年に引き続き、スタッフとしてお手伝いさせていただきました。

今年でなんと12回目を迎えるこのコンサート、毎年趣向が変わり、多様なアーティストとのコラボレーションが見物なのですが、今回の共演はブランドハープの摩寿意英子さん。
幽玄と現実のはざまに意識をいざなう能管の調べと
天使の調べであり楽器の女王ともいわれるハープとの共演。

リハーサルの音だしでは、さわやかな秋晴れのもと、重厚な木造建築とお庭のきらきらした緑に黄金のグランドハープが見事に輝き、開放された空間に華麗で美しい旋律が軽やかにひろがってゆきました。













そして刻々と夕闇が迫り本番開始、 燭台と燈篭に灯りが燈され、澄んだ空気に虫の声が絶え間なく響く中、空間を割くような、鋭い深みのある能管の音色が広がります。

その太い音色に戯れるように軽やかで鮮やかなハープの音色が絡み合い‥


そして今回は、特別に、古代アッシリアや古代エジプトの竪琴がシルクロードを
通って日本に伝来されたとされる楽器、箜篌(くご)の演奏も聴くことができました。もともとは雅楽の楽器として演奏されていましたが、平安時代頃から筝や琵琶に変わり、次第に使われなくなりました。正倉院に残されている2張の箜篌の頸部には、「東大寺」の銘があり、天平勝宝4年(752年)の大仏開眼会で演奏されたもののようです。約1300年の間、正倉院で眠っていたものを、1983年に国立劇場で復元してよみがえり、今日またその音色を聴けるようになりました。演目は「番假崇(ばんかそう)」、同じく正倉院で見つかった天平時代の琵琶譜の断片を元にして、宮内庁楽部で採譜を行い、復元したものです。羊腸(ガット)が張られたハープと違い、箜篌には絹の糸が張られています。独特の乾いたシンプルで力強い響きは、琵琶や和琴とよく似た、ゆっくりじんわりと心に染み入るような旋律を醸し出していました。


秋の夜長の静けさの中、なんとも豪華なひと時を味わうことができました。







2009年10月10日土曜日

JAPANESE GOLD

またまたこの場をお借りして、
先日のイベントSALON D'I「麻・布・藍」展のご報告をさせていただきます☆

天皇が即位の礼の後,初めて行う大嘗祭という儀式があります。実質的に践祚の儀式で、正式に皇位を受け継がれる非常に大切な儀式です。その際に使われる神御衣(かむみそ)=荒妙(あらたえ)(麻織物)・和妙(にぎたえ)(絹織物)のうち、麻で織られた麁妙(あらたえ)だけは、古代から阿波の木屋平村三木家(阿波忌部の子孫)から運ばれていました。

しかし時代とともに、実際に三木家に伝承されてきた技術は廃れてしまい、全国各地に伝わったその技法を残すに留まりました。今回、その技術を集結させて、かつて日本の政治(まつりごと)が行われた場所で、神御衣を織る”まつりごと”を復活させようと、このイベントを開催する運びとなりました。


おかげさまで連日の大盛況、体験コーナーでは、いろいろな方に貴重な体験を楽しんでいただけたようです。

期間中、お足をお運びいただいた方、ご興味をもっていただけた方、どうも有難うございました!!


群馬県東吾妻町の岩島麻保存会の方による手ひきの麻、 滋賀県近江上布の麻積み(おうみ)から機織まで、 徳島県藍住町の藍染め体験、 奈良県月ヶ瀬の奈良晒し保存協会による麻積み体験、 みなそれぞれにシンプルですが、実際体験してみると、いかに難しい熟練の技術が必要かがわかります。
半世紀にわたり、同じ作業を日々行うことで培われてきた卓越した技術。ものとじっくり対峙することでものを知り、ものを創る。これこそが、現在の日本にとって重要で、かつ誇るべき文化なのかなあ、と痛感いたしました。

現在ではほとんどなくなった手挽きの麻の美しさといったら!!!なめらかにひかえめに輝く上品な黄金の色。群馬県の岩島麻保存会にて手挽きされた麻は、宮内庁と伊勢神宮とに奉納されています。すべて手作業で細やかに織られた反物の繊細な輝き。1年以上かけて織物にするという奈良月ヶ瀬の奈良晒しは、一反一千万円はくだらないそうです。今生天皇が即位される大嘗祭のさいにお召しになった神御衣が、こちらで織られたアラタエです。


















そして今回の演奏は、このイベントを企画され、ジャパニーズ・ブルー・クリエイターでもある三木立氏と、福島昭和村で織物を習得された金子貴子さんとのコラボレーションである藍染めの衣装で演奏させていただきました!

阿波藍の染めは、とっても暖かく心地よくて大地と太陽のパワーに包まれている感じがしました。



写真向かって左が金子貴子さん、右が徳島から来られた三木寛子さん、三木武夫記念館前にて。