2009年10月14日水曜日

風響の会~シルクロードへの郷愁 大徳寺大慈院



普段は非公開である大徳寺の塔頭大慈院にて、知人の能管奏者である野中久美子さんの主催するコンサート”風響の会 ~シルクロードへの郷愁”が10月9日・10日の2日間開催されました。昨年に引き続き、スタッフとしてお手伝いさせていただきました。

今年でなんと12回目を迎えるこのコンサート、毎年趣向が変わり、多様なアーティストとのコラボレーションが見物なのですが、今回の共演はブランドハープの摩寿意英子さん。
幽玄と現実のはざまに意識をいざなう能管の調べと
天使の調べであり楽器の女王ともいわれるハープとの共演。

リハーサルの音だしでは、さわやかな秋晴れのもと、重厚な木造建築とお庭のきらきらした緑に黄金のグランドハープが見事に輝き、開放された空間に華麗で美しい旋律が軽やかにひろがってゆきました。













そして刻々と夕闇が迫り本番開始、 燭台と燈篭に灯りが燈され、澄んだ空気に虫の声が絶え間なく響く中、空間を割くような、鋭い深みのある能管の音色が広がります。

その太い音色に戯れるように軽やかで鮮やかなハープの音色が絡み合い‥


そして今回は、特別に、古代アッシリアや古代エジプトの竪琴がシルクロードを
通って日本に伝来されたとされる楽器、箜篌(くご)の演奏も聴くことができました。もともとは雅楽の楽器として演奏されていましたが、平安時代頃から筝や琵琶に変わり、次第に使われなくなりました。正倉院に残されている2張の箜篌の頸部には、「東大寺」の銘があり、天平勝宝4年(752年)の大仏開眼会で演奏されたもののようです。約1300年の間、正倉院で眠っていたものを、1983年に国立劇場で復元してよみがえり、今日またその音色を聴けるようになりました。演目は「番假崇(ばんかそう)」、同じく正倉院で見つかった天平時代の琵琶譜の断片を元にして、宮内庁楽部で採譜を行い、復元したものです。羊腸(ガット)が張られたハープと違い、箜篌には絹の糸が張られています。独特の乾いたシンプルで力強い響きは、琵琶や和琴とよく似た、ゆっくりじんわりと心に染み入るような旋律を醸し出していました。


秋の夜長の静けさの中、なんとも豪華なひと時を味わうことができました。







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