2009年12月22日火曜日

1222冬至

今日12月22日は冬至の日、「日短きこと至〔きわま〕る」、一年中で昼が一番短く、夜が一番長い日です。日照時間が一番短く夜が長い日、昔は冬至の日は「死に一番近い日」と言われており、その厄〔やく〕を払うために体を温め、無病息災を祈っていました。

この冬至に、「ゆず湯」に入り、「冬至かぼちゃ」を食べる風習が日本にはあります。「ゆず湯」は、厳しい寒さの中でも健康に暮らせるようにと、浴槽に柚子を浮かべてはいるお風呂のことで、江戸庶民から始まったようです。ゆず湯は、風邪を防ぎ、皮膚を強くするという効果があり、湯につかって病を治す―湯治(とうじ)にかけているとか、柚子は融通が利くようにと願いが込められているともいわれています。「かぼちゃ」は、厄除け・無病息災によいと言われ、実際にかぼちゃにはカロチンやビタミンが多く含まれています。冬に野菜が不足した時代には、かぼちゃは貴重な栄養源だったのでしょうね。

「ユール(Yule)」とは、現代では北欧でクリスマスのことを言いますが、キリスト教が伝来する以前からこのユールのお祭りは行われておりました。実は、ユールとは元々は古代ケルトの冬至のお祭りのことだそうです。冬至は、世界中で1番お祭りが行われている日なのだそうです。日照時間が短く、光が弱いときがこの日終わりになり、太陽が輝きを増し暖かい春の季節に近づいていく、世界が明るくなっていく日として、とても喜ばしい1日だったのでしょう。
「太陽の誕生日、再生の日」としての祝祭です。

これから寒さは増していくものの、太陽のエネルギーはパワーアップしてゆきます。太陽を味方につけながら、かぼちゃとゆずでこの冬を元気に乗り切りましょう!!

今夜はもちろん、かぼちゃとゆず風呂、いただきます。



2009年12月20日日曜日

春日若宮おん祭り

毎年12月15日から18日、春日大社の若宮さまのお祭りが催されます。15日に行われる大宿所祭りの湯立ての行事は見れませんでしたが、16日深夜すなわち17日零時から行われる遷幸の儀、暁際から3日連続でお参りしてきましたのでそのご報告です。

16日の夜、打ち合わせ終了後、このまま向かえばまだ間に合うと、奈良の春日大社に直行、はるか遠くにご本殿で行われる儀式を見守ります。静謐な境内に神官による警蹕と楽が鳴り響く中、暗闇の中に、炎の明るさに包まれて巫女の舞いが浮かびます。闇と光が圧倒的な濃度で交錯しながら反発しあい、とぐろを巻いて渦まいているかのよう。儀式が終了、まず松明と沈香で参道を清めたあと、繰り返す警蹕の中で杉の枝で顔を隠した神官達が、ご神体をお旅所までお運びします。参道脇にたち、ご神体が通られる際には、低頭、2拍手。まるで宇宙光線を浴びたかのような、とてつもないパワーを感じます。
行列はそのまま参道にあるお旅所へ。暁祭が始まりお供えが供えられた後、巫女による神楽がご奉納され深夜2時半に終了。



次の日は、正午から、行宮へ遷られた若宮神のもとへ芸能集団や祭礼に加わる人々が社参するお渡り式、そしてお旅所祭りが行われます。今回はお旅所祭りからの参加です。大寒波の到来、吹きすさぶ風の中で式典は始まります。
大名行列のかけ声が参道にこだましているなかを神職が参進し、左・右の太鼓が鼕々と打ち鳴らされ、奏楽のうちに神様にお供え(神饌)が捧げられる。このお供えは、お米を青黄赤白に染め分けて飾る「染御供(そめごく)」という珍しいものだそうです。 続いて宮司がご幣を捧げ、祝詞を奏上してのち行宮の下に座を進め、神職が退いたあと日使の奉幣・祝詞があり、各種団体の代表、稚児や願主投、大和士などの拝礼がおこなわれます。 このあと午後3時30分頃から神楽に続いて田楽・細男・猿楽(能楽)・舞楽など、午後11時近くまで各種神事芸能が奉納され、その後24時までに、ご神体は若宮ご本殿まで戻られます。

大寒波のため、風が強く雨が降るかと思いきや、田楽の口上が始まったとたんに風が一層強くなり、なんと雪が舞い始め‥!!しかしその後演目が進むにつれ、天気は回復、星空が広がりはじめました。
篝火のもと、厳かに執り行われる芸能の数々‥日本であって日本でないような、不思議な光景が広がります。


そして18日、ご神体のいなくなったお旅所行所の前で、お祭りに関わった人たちへのねぎらいの行事とされる後宴能。今年の演目は、金春流による「生田」、茂山千五郎氏による狂言「呼声」、そして金春欣三氏による「葛城」。葛城山に行脚した出羽の山伏を、葛城の明神が舞いを舞ってもてなすという「葛城」では、本当に明神が降りてこられたかのような静謐な雰囲気に。



そして、神様のお使いである鹿までもが舞台に繰り出す場面もありました☆はるか鹿島から鹿の背に乗ってこられたという春日の神様が、かつらぎの明神をお迎えにあがったのかもしれませんね?!





2009年12月11日金曜日

イノリ ノ オトタマ  大田神社 チャンポン祭

京都北区にある大田神社、ここはすぐ隣にある上加茂神社よりも創建は古く、カキツバタで有名な大田の沢は、秦氏の灌漑によって平安京が創設される以前、古代の京都に広がっていた沼沢地の面影を残しているといわれています。

こちらのお宮では、毎月10日には、月次祭として、ちゃんぽん祭が行われます。
この祭りでは、氏子であり、奈良時代から続くという巫女の家系の男女2名ずつのご老人が、お囃子と巫女舞からなるちゃんぽん神楽を奏されます。御鈴を鳴らしながら廻るだけの単調な舞いですが、現在の神楽の原型ともいわれ、京都市の無形民俗文化財にも指定されています。銅拍子・つつみ太鼓によるお囃子が、シャーン、ポーンと響くところから、チャンポンという名前がついたのだとか。

ご祭神は天鈿女命(あまのうずめのみこと)であり、岩戸開きの際に、天照大神がおかくれになった岩戸の前で、舞いを舞わられたことで有名な芸術の神様でもあります。このたびは、そのちゃんぽん祭の際に、ご奉納演奏をさせていただきました。

夜のとばりがとっくに降りた午後19時、祭りは催行されます。
静けさの中に神楽の音色と宮司の祝詞が響き‥厳粛かつ神秘的な雰囲気に包まれます。

祭りのあと、ご祈祷を受け、いざご奉納。

演奏終盤にさしかかったとき、雨が一粒一粒、幾層にも重なる高音のグラデーションとなって透明に響き渡りはじめ‥思わぬ伴奏を奏していただけました。

ご奉納をご一緒させていただいた高井様と小島様による祈りのボレロ、アテネオリンピックの際に起こったロシアのテロ事件を知った際に浮かんだというメロディは、やさしくせつなくあたたかく胸の奥に染み入ります。


平安の地が、永遠に平安でありますように

平安の地より、平安の祈りを


そんな想いが届いたのか(?)、御神威をいただけたのでしょう、拙宅の仲が悪かった猫ちゃん2匹が、翌朝は仲良く毛づくろいしあっておりました☆


写真は、落雷した樹齢500歳の上加茂神社のご神木からつくった菓子皿だそうです。
高井宮司さまは、神社の雰囲気そのままの、とても穏やかで素敵な方でした。

お誘いいただいた高井様と小島様に、この場をお借りして、心から感謝いたします。

2009年12月9日水曜日

HIROKO ART GRASS



先日、神戸大丸にて開催されたHIROKO ART GRASS展に行ってきました。

ガラスの透明感と色彩の併せ持つ輝きと、工程の一瞬一瞬がつくりあげるフォルムの美しさにしばし時間の経過を忘れ‥ガラス工芸という伝統技術を駆使して、現代の生活にマッチした美をいかに組み立てていくかといった植木さんの姿勢にとても感銘を受けます。



植木さんとマネージャの織田さんと久しぶりにお会いすることができ、そして偶然にも知人のご紹介で以前京都のギャラリーにお越しいただいた方も植木さんの作品を見に来られ‥
どうしてこのタイミング?と居合わせた皆びっくり☆

おりしも最終日、最終の新幹線に間に合うように撤収されるのを光栄にもお手伝いさせていただきがてら、素晴らしい作品をさらに味わうことができました。

現在、東京国立近代美術館工芸館「装飾の力」にて、植木さんの作品がご覧いただけます。お近くの方は、ぜひお足をお運びになってくださいませ♪


ガラスデザイナーである植木寛子さんは、ギャラリー経営されていたご実家で幼少からガレやドームといった優れたガラスアートを身近に触れながら育ち、美大を卒業された後にルーマニアで被せガラスの技法を学ぶ。その後、イタリアのムラノにてピカソやダリ等と仕事をともにした世界最高峰の職人ピノ・シニョレット氏とともに、「ガラスの靴」をテーマに作品づくりを展開。フランス現代美術オークションに落札されたり、イギリスバッキンガム宮殿にて作品出展されたりと、自由な発想とデザインと、職人魂が呼応する素晴らしい造形を誕生させています。








寒ニモ負ケズ、虫ニモ負ケズ‥

うちの庭のカリフラワーくん、
寒さのせいか、手づかみでの(笑)虫取り作戦が功をなしたのか、
青虫たちも最近はあまり姿をみかけなくなり‥

穴ぼこだらけのレースのような姿になりながらも、
ようやく少しずつ顔を覗かせてくれました。




2009年12月8日火曜日

御事始め・御事納め

今日12月8日は、釈迦が成道(悟りを得ること)したとされる日。各地のお寺では成道会が開催されます。

そして、「事」を年の祝いととらえる地方では12月8日を事始め(事納めは2月8日)、「事」を農業ととらえる地方では12月8日を事納め(事始めは2月8日)といい、仕事や祭礼の始まりと終わりの日を意味しているようです。
1年間お世話になった道具を片付け、新年を迎えるしたくを始める日ですが、この日に針供養をするのも、着物の時代の大切な道具だからでしょう。裁縫を休んで、折れた針を集めて豆腐やこんにゃく等の柔らかいものに刺し供養をするようです。この、いたわりの気持ちがここちよいですよね!
また、新年のおせちを調理するための薪や門松の竹なども、この日に採りに行き、新年の準備にそなえたようです。江戸時代には、里芋・こんにゃく・にんじん・小豆を入れた「御事汁」を食べたとか。

師走にはいり、気忙しい季節です。新年はもう間近、お身体あたたかくしてご自愛くださいね☆

2009年12月5日土曜日

ある日の散歩道


猫を病院に連れて行く道すがら、
近所の公園の夕陽の美しさに、思わずパチリ☆

樹木もすっかり冬支度完了、
春の到来にむけて、厳しい寒さから身を守りながら、
次の芽吹きの準備を始めていることでしょう。
最近、陽光に赤みが増してきたせいか、時間とともに移ろいゆく
光のグラデーションがとても素敵なのです。

2009年11月30日月曜日

祇園甲部歌舞練場、ハイアットリージェンシー、そして京都駅イルミネーション




本日11月29日、祇園甲部歌舞練場にて
杵屋禄宣改め『二代目杵屋勝禄襲名披露演奏会』がありました。
拙父の知人がでているとのこと、急遽楽屋御見舞いを届けに歌舞練場へ。
悲しいかな、チケットを購入するまでもなく、
襲名披露と着物美人の華やかな雰囲気だけを横目で味わいながら、
お見舞いを届けた後はそのまま三十三間堂の隣にあるハイアットリージェンシーへ。
なんと!!今日はいつもお世話になっている小島布水呼さんのディナーショーだったのです☆
受付のお手伝いをさせていただいたあとは、ステージ鑑賞。
中央のダンスホールでは、たくさんの方が社交ダンスを楽しまれています。
個性的なお客様を前に、素敵な衣装を着こなしながら、
笑顔でのびやかな歌声を披露される布水呼さん。
そしてその横には、ジュスカ・グランペールの高井ヒロアキさんのギターです。
”京都発、世界へ”と、バイオリンの広瀬まことさんとともに活動され、
クレモンティーヌをはじめ、夏川りみさん、GONTITIや葉加瀬太郎らさんと
コラボレーションされています。
的確な演奏技術、会場全体がきらきらして、弾む音色に満たされます。
聴いていると、本当に幸せな気分にさせていただけます。
音楽というものは魂でつむぎ出されるものなんだなあ、とつくづく実感。
和楽と洋楽、ジャンルはまったく違いますが、音楽はやっぱりみな同じですよね。
まだまだ未熟ではありますが、演奏を勉強している者にとって、
いろんなジャンルの様々な方の演奏を拝聴することは、学びの多い貴重な機会です。
もちろん自分自身の演奏も、いわずもがな、でありますが!!
最後に、京都駅でとても綺麗なイルミネーションに遭遇☆
気がつけばもう師走、クリスマスの季節ですねえ。
そしてキティちゃんの包帯を巻いた拙宅のまりなは、元気に回復中です♪

2009年11月23日月曜日

神無月 そして 新嘗祭


11/17は旧暦で10月1日、神無月の始まりです。この日は新月でもありました!神無月の語源は、神を祀る月であることから、「神の月」とされているようです。「無」は水無月と同じく、「の」をあらわす格助詞として用いられているようです。この時期島根県の出雲では、国中から神様達が集い、大会議を催されるとか。今ごろ天界では、神様達が集まって、人間界の様子を憂いながら、大宴会を繰り広げてらっしゃるのでしょうね!


そして皆様、この連休はいかがお過ごしでしたでしょうか?
3連休最終日の今日、11月23日は勤労感謝の日。
ですが、実は戦前まではこの日は新嘗祭という祝日だったそうです。

新嘗祭とは、秋に新穀を供えて神を祭る稲作儀礼。11月23日天皇五穀の新穀を天神地祇に勧め、また自らもこれを食して、その年の収穫を感謝する祭儀であり、宮中三殿の近くにある神嘉殿にて執り行われます。
日本では、古くから
五穀の収穫を祝う風習があり、 その年の収穫物は国家としてもそれからの一年を養う大切な蓄えとなることから、大事な行事として飛鳥時代皇極天皇の御代に始められたと伝えられているようです。

収穫を感謝することは即ち労働を感謝することと同じということで、戦後1948年、休日法で名前を変えて国民の休日に制定されました。

愛猫のまりなが大腿骨骨折、明日を手術に控えているため、今日のご参拝は中止しましたが、昨日からの雨もあがり抜けるような良い天気。神様も今年のお供えにさぞかしご満悦でしょうね♪

写真はびっこをひきながらも、ひとときの日向ぼっこを楽しむまりなです。明日の手術が成功しますように!!

2009年11月22日日曜日

以和為尊 法隆寺


神戸から訪れてきた親戚と両親とともに法隆寺へ。

1400年前に聖徳太子が建立したことでおなじみの法隆寺は、飛鳥時代の姿を現在に伝える世界最古の木造建築で、西院伽藍と、東院伽藍に分けられた広大な境内には、飛鳥時代をはじめとする各時代の粋を集めた建築物が軒をつらねています。またたくさんの宝物類が保管されており、国宝・重要文化財に指定されたものだけでも約190件、点数にして2300余点に及んでいます。このように、世界的な仏教文化の宝庫として1993年12月には、ユネスコの世界文化遺産のリストに日本で初めて登録されています。
金堂の柱には、昇り竜と降り龍がうねっています





手洗いには、龍?それとも河童?!







古木に、歴史の深さを感じます。








そして夢殿では、特別公開中の聖徳太子等身大の秘仏救世観音を、百済観音堂では、はるかシルクロードの果てを彷彿とさせる優美で慈悲深い百済観音をご拝観。中国文化を色濃く残した天平文化に想いを馳せながら‥

「和を以って尊しと為す」
くにづくりにあたり、聖徳太子は、この言葉にどのような思いを託されたのでしょう?

あいにくの小雨日和でしたが、雨に濡れて紅葉が鮮やかに映えていました。

2009年11月18日水曜日

音羽山清水寺 ありがとうの夕べ・落葉忌献茶会



朝晩めっきり冷え込み北風が吹き始め、あんなに勢いのよかった太陽も、雲にかくれぎみのここ最近です。
かの有名な音羽山清水寺にお参りさせていただく機会が多いこの1週間でした。実はこの清水寺を建立するのに一役買った征夷大将軍で有名な坂上田村麻呂さんは、いつもお世話になっている和歌山高野山の守護神、丹生都比売神社の神官の家系であったそうです。この素敵なお宮はまたの機会にご紹介させていただきますね!今回はそんな偶然にちょっとしたご縁を感じつつ‥

時は、日いずる国がひとつ目の都から二つ目の都へ移る間をつなぐ時代に悠久の平和を願って生まれたお寺の話。
時代の腐敗を憂う一人の僧侶 
奈良から、啓示を受け、京へ向かう賢心
聖なる山にて時を待つ修行者 
聖なる水の湧く音羽山にて、修行する行叡居士
千年の都建設に命を奮う将軍
東北地方を平定し、平安京を導く坂上田村麻呂

この3人の出逢いがなければ、音羽山清水寺はこの世に存在せず、清水寺を創建した英雄 坂上田村麻呂公がいなければ平安京は成立が遅れたかもしれない。今年は、その英雄の生誕1200年のイブの年である。

そして、今回の開催日である11月11日は、今から、1225年前、京都が都になるきっかけとなる長岡京へ桓武天皇が遷都を実行した日でもある。

清水寺秋の特別貸切ライトアップ ~ありがとうの夕べ~


11/11、普段は一般公開されていない経堂にて、森管長の法話とコンサート、そしてライトアップイベントに先駆けて特別に清水寺の夜を満喫してきました。なぜかコンサートはエルビス・プレスリー、ご本尊と天井画の龍との組みあわせはかなり微妙でしたが、晩秋の澄み渡る新鮮な空気と紅葉、音羽の滝の清らかな水を身体いっぱいに楽しむことができました☆


そして11月16日、月照・信海両上人を祀る落葉忌にご列席させていただきました。安政5年11月16日、月照上人(1813-1858)が安政の大獄」をのがれ、西郷隆盛と薩摩の瀬戸に入水、上人は不帰の客となられました。翌年3月16日、小塚原の露と消えた実弟の信海上人(1818-1859)を併せ祀られています。
濃茶・薄茶の献茶の儀のあと、織部流による四つ頭茶礼が執り行われ、ご拝服させていただきました。織部流の方々によるお手前でしたが、中国からのしきたりの色濃いとても珍しいもので、四方にわかれたお茶席に、それぞれ四つ頭の方が清水寺のご紋のついたお干菓子と高槻に乗った茶碗をお盆で配り、拝服者は合掌してから中腰になってそれらをお盆から受け取ります。その後、湯差しと茶せんでそれぞれの茶碗に湯を注いで茶を点てていただく、その間拝服者は同じく中腰になって高槻に乗った茶碗を支えておくという、日本であって日本でないような、なんとも不思議な体験をさせていただきました。お茶の味は、苦味と甘味がほどよく調和し、なんとなく大陸の味を感じたのは私だけでしょうか‥?!

お茶席の間、撮影したくてもできないうずうずから開放され、参道の脇に咲く美しい八重椿におもわずパチリ!!

2009年11月4日水曜日


春のような夏のような、不思議な太陽の暖かさを感じる最近でしたが、
ここ京都もようやく11月らしい冷え込みが訪れました。
とはいっても、日中の太陽の陽射しの強さと暖かさは高原にいるかのよう。

皆様、お変わりはございませんか?
くれぐれも、お身体冷やさぬようご自愛くださいませ!
秋といえば月が美しい季節。
日本には古くから秋の月を愛でる「お月見」の風習がありますね。有名なのは旧暦8月15日の「十五夜(中秋の名月)」。十五夜の月見は、遣唐使によって中国から日本へ伝わり、風流を好んだ平安貴族の間で流行したのがはじまりといわれています。現在でも十五夜は秋の風物詩として馴染みがありますが、秋のお月見は十五夜だけではないようです。

十五夜と同じように、昔から日本で楽しまれた月には「十三夜」があります。これは、旧暦9月13日の月のこと。満月手前の少し欠けた状態は、まさに「完成されていない美しさ」をたたえているのでしょうね。
そして、主に東日本を中心に愛でられているのが、旧暦10月10日の十日夜(とおかんや)。この時期には刈り入れが終わることから、田の神様が山に帰るとされ、お祭り(収穫祭)が行われていましたが、やがて秋の月見の風習と習合したようです。
旧暦の日付を、今年のカレンダーに置き換えてみると、十五夜は10月3日(土)、十三夜は10月30日(金)、十日夜は11月26日(木)。十五夜、十三夜、十日夜の月見を「三月見」といって、三夜とも晴れて月を見ることができると縁起がいいといわれているようですよ☆

さらに今年は、1969年に人類が月に降り立ってから40周年、月にご縁のある年のようです。

秋の夜長、澄んだ夜空に煌々と輝く月を眺めながら、
宇宙の片隅の地球に一番近い天体、
かぐや姫の故郷に想いを馳せてみるのはいかがでしょうか?

2009年11月1日日曜日

一弦琴演奏会

爽やかな秋晴れのもと、三十三間堂法住寺にて、一弦琴の演奏会が行われました。

桓武天皇の時代の書物にその存在が記録され、江戸時代までは公家や武家のたしなみとして親しまれてきた一弦琴、今では数える程度の演奏者しかいらっしゃいません。

昨年知人に誘われて、初めてその音色に触れて以来、そのシンプルでかつ複雑な音色は耳から離れることがありません。琴であって琵琶のような‥枯れたようで澄んでいる、とても趣のある音色です。

大西一叡先生の演奏される”泊仙操”、京都白川の山中にこもっている仙人が、四季の移り変わりを綴った演目です。春は鳥、夏は水、秋は虫、冬は枯れ葉の音を、一弦の音で見事に弾き語ります。


春は梢に ももどりの さへづる声も のどかなり

夏は谷間に 真清水の 岩にせかるる 音涼し

秋は草葉の 夕露に あはれを添ふる  虫の声

冬は時雨の 降るなべに 落つる水の葉の 音わびし

いつか冬暮れ また春に

立ちかへり 立ちかへり

渓壑の興 かぎり知られず


写真は稽古生の前平容子様 一弦琴とともに

2009年10月31日土曜日



糸のことは、本当に奥が深くてね、

いまだにいろいろ教えてもらってるんよ、

いつまでたっても勉強中、

ほんまにまだまだなんよ。



今年で83歳、およそ70年の間、奈良晒しを織りつづけたおばあちゃんの言葉です。嫌になって、織機を全部燃やされた時期もあったとか。

すべて手作業で紡がれた絹のような繊細な麻糸に、
時間の経過と積み重ねの織りなす貴重な重みを実感しました。

2009年10月30日金曜日

室町二条”然花抄院” 




普段、ギャラリーのお仕事でお世話になっている室町二条の然花抄院にお邪魔しました。 今回は、いつもとは装い改め和的生活の取材です!今年7月にオープンしたばかりの然花抄院、老舗の呉服屋として有名な誉田屋の元禄十三年建立のむしこ造りの町屋を改造した店内には、旧路面電車の石畳が敷かれ、当時のままの柱が残っていたり、ガラス張りの開放的な空間から見渡す日本庭園には、グラウンドゼロで有名な佐野藤右衛門氏のしだれ桜が来春植樹予定です。



然花抄院室町本店の店内には、おしゃれで素敵なパッケージに包まれたおいしそうなお菓子が並びます。ちょっとしたおもたせにと、車を店の前に停めて立ち寄る方もよくいらっしゃるようです。中でも、丹波黒豆だけを贅沢に食べた鶏の卵をふんだんに用いた”然カステラ”は、なんともいえない濃厚な味わい!そしてカラフルでモダンな茶房”然”では、同じく併設するギャラリー素形の立派な日本家屋と素敵なお庭を眺めながら、美味しいお茶とお菓子が楽しめます。







店内には、室町時代の大きな壺が花器として置かれていたり、昔のままの金庫や蔵・おくどさんがあったりと、旧いものと新しいものとが見事なバランスで融合され、素敵な雰囲気を作り出しています。






併設された素形ギャラリーでは、広くて天井が高く、ガラス張りの開放感あふれるギャラリーに、色とりどりの作品が並んでいました。






そして久しぶりの和的生活ミーティングでは、12月号の情報を入手☆
次の号も、興味深い情報盛りだくさんの素敵な内容、
いろんな展開がでてきてこれからが本当に楽しみです!!!

2009年10月22日木曜日

ある尼門跡の歌



笙の音の地に降りきらら誰ぞ見る 

万の華とは色即是空



京都烏丸御池にある新風館にて、万華鏡night in 新風館が開催されました。 施設広場の真ん中にあるメインステージにライトアップされた万華鏡にあわせて笙の演奏をさせていただきました。
翼をあわせて休めた鳳凰のような姿から鳳笙(ほうしょう)とよばれ、天空から射し降ろす光の様子を顕すという笙の音と、色とりどりの幻想的な光が織りなす万華鏡のコラボレーションでした。


万華鏡ミュージアム館長の伊藤様から教えていただいた、ある尼門跡の歌。

胸がとても熱くなり、涙がこみあげてきました。


万華鏡ミュージアム

新風館


2009年10月15日木曜日

演奏収録@渋谷区南平台


和的ではございませんが、ちょっとしたご報告☆

先日、笙の演奏の撮影&レコーディングを行いました!!
場所は渋谷区南平台。
演奏の初めての映像収録ということもあり、
あっという間の3時間でした。

作品撮りということで、普段の演奏とはまた違った感覚。
でも、ひとつひとつの演奏がご奉納、という気持ちを忘れずに、
1つの演目を繰り返すこと両手で数え切れないくらい‥

話によると、普段、アーティストさんのPVの撮影では、
一日中同じ曲を演奏、収録しているようです。
同じモチベーションを維持し続けるのは、本当に大変だろうなあ、としみじみ実感。
作品への情熱がそのモチベーションの原動力なのでしょうね。

奇しくも場所は、別のイベントで滞在中の渋谷区南平台。
イベントのスタッフもこなしながら、
2週間で連続して3回の演奏を行うという超ハードスケジュールでしたが、
ひとつひとつの演奏がまったく違うかたちとなり、
色々勉強させていただきました。
3回目のこの演奏では、収録が終わり外にでると久しぶりの恵みの雨が!!!


なにはともあれ、作品の出来上がりが楽しみです♪

お声がけいただいたジンさんとスタッフの方に、心からの感謝を込めて‥



2009年10月14日水曜日

風響の会~シルクロードへの郷愁 大徳寺大慈院



普段は非公開である大徳寺の塔頭大慈院にて、知人の能管奏者である野中久美子さんの主催するコンサート”風響の会 ~シルクロードへの郷愁”が10月9日・10日の2日間開催されました。昨年に引き続き、スタッフとしてお手伝いさせていただきました。

今年でなんと12回目を迎えるこのコンサート、毎年趣向が変わり、多様なアーティストとのコラボレーションが見物なのですが、今回の共演はブランドハープの摩寿意英子さん。
幽玄と現実のはざまに意識をいざなう能管の調べと
天使の調べであり楽器の女王ともいわれるハープとの共演。

リハーサルの音だしでは、さわやかな秋晴れのもと、重厚な木造建築とお庭のきらきらした緑に黄金のグランドハープが見事に輝き、開放された空間に華麗で美しい旋律が軽やかにひろがってゆきました。













そして刻々と夕闇が迫り本番開始、 燭台と燈篭に灯りが燈され、澄んだ空気に虫の声が絶え間なく響く中、空間を割くような、鋭い深みのある能管の音色が広がります。

その太い音色に戯れるように軽やかで鮮やかなハープの音色が絡み合い‥


そして今回は、特別に、古代アッシリアや古代エジプトの竪琴がシルクロードを
通って日本に伝来されたとされる楽器、箜篌(くご)の演奏も聴くことができました。もともとは雅楽の楽器として演奏されていましたが、平安時代頃から筝や琵琶に変わり、次第に使われなくなりました。正倉院に残されている2張の箜篌の頸部には、「東大寺」の銘があり、天平勝宝4年(752年)の大仏開眼会で演奏されたもののようです。約1300年の間、正倉院で眠っていたものを、1983年に国立劇場で復元してよみがえり、今日またその音色を聴けるようになりました。演目は「番假崇(ばんかそう)」、同じく正倉院で見つかった天平時代の琵琶譜の断片を元にして、宮内庁楽部で採譜を行い、復元したものです。羊腸(ガット)が張られたハープと違い、箜篌には絹の糸が張られています。独特の乾いたシンプルで力強い響きは、琵琶や和琴とよく似た、ゆっくりじんわりと心に染み入るような旋律を醸し出していました。


秋の夜長の静けさの中、なんとも豪華なひと時を味わうことができました。







2009年10月10日土曜日

JAPANESE GOLD

またまたこの場をお借りして、
先日のイベントSALON D'I「麻・布・藍」展のご報告をさせていただきます☆

天皇が即位の礼の後,初めて行う大嘗祭という儀式があります。実質的に践祚の儀式で、正式に皇位を受け継がれる非常に大切な儀式です。その際に使われる神御衣(かむみそ)=荒妙(あらたえ)(麻織物)・和妙(にぎたえ)(絹織物)のうち、麻で織られた麁妙(あらたえ)だけは、古代から阿波の木屋平村三木家(阿波忌部の子孫)から運ばれていました。

しかし時代とともに、実際に三木家に伝承されてきた技術は廃れてしまい、全国各地に伝わったその技法を残すに留まりました。今回、その技術を集結させて、かつて日本の政治(まつりごと)が行われた場所で、神御衣を織る”まつりごと”を復活させようと、このイベントを開催する運びとなりました。


おかげさまで連日の大盛況、体験コーナーでは、いろいろな方に貴重な体験を楽しんでいただけたようです。

期間中、お足をお運びいただいた方、ご興味をもっていただけた方、どうも有難うございました!!


群馬県東吾妻町の岩島麻保存会の方による手ひきの麻、 滋賀県近江上布の麻積み(おうみ)から機織まで、 徳島県藍住町の藍染め体験、 奈良県月ヶ瀬の奈良晒し保存協会による麻積み体験、 みなそれぞれにシンプルですが、実際体験してみると、いかに難しい熟練の技術が必要かがわかります。
半世紀にわたり、同じ作業を日々行うことで培われてきた卓越した技術。ものとじっくり対峙することでものを知り、ものを創る。これこそが、現在の日本にとって重要で、かつ誇るべき文化なのかなあ、と痛感いたしました。

現在ではほとんどなくなった手挽きの麻の美しさといったら!!!なめらかにひかえめに輝く上品な黄金の色。群馬県の岩島麻保存会にて手挽きされた麻は、宮内庁と伊勢神宮とに奉納されています。すべて手作業で細やかに織られた反物の繊細な輝き。1年以上かけて織物にするという奈良月ヶ瀬の奈良晒しは、一反一千万円はくだらないそうです。今生天皇が即位される大嘗祭のさいにお召しになった神御衣が、こちらで織られたアラタエです。


















そして今回の演奏は、このイベントを企画され、ジャパニーズ・ブルー・クリエイターでもある三木立氏と、福島昭和村で織物を習得された金子貴子さんとのコラボレーションである藍染めの衣装で演奏させていただきました!

阿波藍の染めは、とっても暖かく心地よくて大地と太陽のパワーに包まれている感じがしました。



写真向かって左が金子貴子さん、右が徳島から来られた三木寛子さん、三木武夫記念館前にて。